オーネットパスで申し込んだ中の人で最初に会うことになったのは、28歳の服の販売員アヤコさんだった。
彼女の近くの駅で待ち合わせた。
僕は待ち合わせ時間の5分前に着いた。
暫く待っていると写真で見た女性が現れた。
写真より活発そうな印象を受けた。
向こうも僕に気づいて、アイコンタクト的なものをしつつ近づいてきた。
「ジャンプさんですか?私、アヤコです。」
「ジャンプです。はじめまして。今日は会って頂き、ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。どうしましょうか?」
「僕、この駅に来たの初めてなので、良いお店、アヤコさんご存知ですか?」
「じゃ、カフェで良いですか?」
「はい。」
アヤコさんの案内で、カフェに入った。
アヤコさんは女性服の販売員をされているそうだ。
そう言われると服装もオシャレな感じがする。
髪も明るめの茶髪で派手な印象だ。
僕がオーネットに最近入ったことを伝えたら、自分の近況を話してくれた。
アヤコさんは、オーネットに入って半年くらいで、最近は年収3000万円の自営業の人に会ったそうだ。今、登録している中で、関東で1番、年収が高い人らしい。
年収が高いのは魅力的だが自営業だから浮き沈みがありそうで、会社員の僕の方が安定しているから、親に紹介しやすいと褒めてくれた。
しかし、褒めて貰っても特に嬉しいという感情は湧かなかった。
3000万円の年収の人がオーネットに登録していることに驚いたし、美人だからそんな年収の人にも会えるのかと心の中で考えていた。
やっぱり彼女はオーネットパスからのお申し込みが多いらしい。お話掲示板は常に100人以上と開かれており、全ての人と会話するのは中々大変だとのこと。
僕に会ってくれたのは、彼女が好きなバンドのボーカルが僕の出身大学と同じだからという理由だった。
そのボーカルの人は、カッコいいし、頭も良い!だから、この人も頭が良いから会ってみよう。ということらしい。
僕は何となく申し訳ない気持ちになった。だって共通点は出身校だけだからだ。もちろん、学部も違う。
アヤコさんは今まで会った人に比べて、とてもフレンドリーだった。そこに、親近感を抱く。
だけど、会話に知的さを感じられなかった。
ちなみに彼女の学歴は専門学校卒だ。
僕の周りに今までにいた事のないタイプの出現に戸惑っている。
高校からは、進学校に進み、ほとんどの人が大学への進学を選んだ。大学に入ってからも理系なので、ほとんどの人が大学院への進学を選んだ。自分の周りには、彼女みたいなタイプはいない。
と言ってもオーネットに入ってまだ数人だけど…
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